パラダイムシフト

 

西日から伸びる 雑踏の影が

あの本の悪魔みたい 僕を監視するから

歩道に伸びる 雑草毟り取って

いっそ陽光に 目を焼いてやった

 

自分を騙して 欺いて 煙に巻いて 生き延びて

60Wばかりの電球じゃ 僕を照らせはしない

 

    ただ 抜け出したい それだけが動機

    偶然か必然 賭けか未来

    夜明けが見たい 期待はしない

    自意識の根底を覆す そんな情動を求めて

    安寧が手招くけど 僕らもう正気じゃない

    所以も無しに 終わらせる顔をして

    勘違いしたなら それが始まりだ

 

伸びた前髪のことを 考えるだけで

すべてが勇気に 変わってしまうような

そんな感受性も 武器になるというなら

海沿いのカーブに 拾いに戻らなきゃ

 

世間を憎んで 裏切り 裏切られ 生き延びて

いくそばくの嘲笑も 僕を殺せはしない

 

    ただ 個々の光で照らせ 携えたランタンで

    野望か現実 尊厳か人生

    落陽の時代 後悔はしない

    朽ち果てた信念の 火葬すら灯りにした

    誇れ惨めなエウレカ 常にその程度が標だ

    所以も無しに 終わらせる顔をして

    勘違いしたなら それが始まりだ

 

今日までの失敗が 雪を踏み歩く音

眠れないから 耳を塞げば

病名を餞別に いつかの夢は窒息死

繰り返した 諦観と悲嘆 後悔のリフレイン 

探してる 目を隠しても見えるもの

いま 必要だった 傷だらけの僕らが繋いだ

それでも確かな 叫びが

 

    ただ 存在を鳴らせ 自分だけの根拠で

    成功か失敗 決まるのは次回

    崩壊が見たい 死に切れぬ遺体

    パラダイムシフト 両腕に自負心と引け目 

    ぬかるんだ足元に 一抹の砂金を見たんだ

    所以も無しに 終わらせる顔をして

    勘違いしたなら それが始まりだ