穿って

 

いつかの酩酊の路上で 踏みつけられた自尊心が

コンクリートに頬ずりをして 僕は僕を思い出した

誰もが薄ら笑いを浮かべ 足を掬い合う浮世にて

先生はどこですか 誰が僕を正してくれるんだろう

 

生きてけないな 生きてけないぜ

虎視眈々と研ぎ澄ます 先鋭化したろくでなし哲学

愛を知らないからとか言った

誰かのために死ねない僕らは

抵抗虚しく 潔白剥奪 それでも明日は来ると知って

 

    太陽を目指して 焼け落ちた言葉で

    拒絶を拒絶して 救われてくれるな

    ただ君を殺すために 手段にされた言葉で

    意志だけを感じて 絆されてしまわぬように 

 

望郷と陽光の温みと 恒久的な幸福に

むず痒さを感じてしまったら

終わりなんだ 終わりなんだ

感傷がそこら中に散らばって

足の踏み場もない自室にて

神様はどこだっけ 誰が僕を救ってくれるんだろう

 

忘れてないか? 忘れてないぜ

人生の路頭にて叫ぶ 希望 諦観 綯い交ぜの賛歌

開き直ったら道になった 翻ったら今日があった

いっそ勇ましい 不浄の魂 もう昨日は戻らないと知って

 

    太陽を目指して 焼け落ちた言葉で

    肥大した期待に 生かされてくれるな

    ただ君を殺すために 手段にされた言葉で

    本心は秘匿して 図られてしまわぬように

 

 

君が信じるに値しない

そんな言葉で泣くべきじゃないな

僕が僕を生きるために 君が君を生きるために

守りたい人のために 悪人を殺せるか

迷ってしまう正しさが 僕らを締め付ける

それでも

穿って かつて押し殺した自分が 胸を叩いたなら

穿って 失ってはいけないもの 思い出すんだよ

 

    太陽を目指して 焼け落ちた言葉で

    自身を悲観して 頷いてくれるな

    ただ君を信じた 肯定の言葉に

    いつの日か報いて 今はまだ見えなくとも