グッド・バイ

 

4番線ホームで 季節に手を振って

ふと振り返れば 昔日のたられば

後ろ髪引くから 思い出と寄り添えば

明日の僕が 線路に飛び込んだ

 

「あれがお前だよ」って笑って

散り行く花火を 捕まえても

それは誰の胸にも落下せず

果てしない黒に 霧散して 眠る 眠る

 

すべての記憶が 等しく流れ着いた

この世界の川下に 瑣末な讃歌を

 

    消せない傷は そのまま傷として

    日は暮れゆく 夜は明ける

    当たり前も幸福も 参加賞じゃないけど

    救いの無い悲しみへ 僕はもう行くよ

    じゃあ、また   グッド・バイ

 

いいんだぜ どんなきちがいでも

僕らはそんな歌を歌って 街頭に群がる虫のように

言葉に擦り寄っては突き放し

ついには世界も出禁になった

 

何ひとつ 変えられなかった夜は

人たりうる 最後の抵抗として

夜っぴて、思考の余白を塗りつぶし

遺書のつもりか 恥ずかしげもなく 綴る 綴る

 

すべての過去を 等しく包み込む

この世界のざわめきに 瑣末な惜別を

 

    流れた涙は そのまま涙として

    人は死にゆく 季節は巡る

    僕ら、終わりの時すら 満足に選べないけど

    どうせ消えない後悔へ 僕はもう行くよ

    じゃあ、また   グッド・バイ

 

すべては時間が解決して

時間は何一つ解決しなくて

朝は必ずやってきて

朝はいつまでも来ないままで

 

これでいいやと留まるのなら それが救いで

これじゃ駄目だと踏み出すのなら それが救いだ

くたばった世界 蹴り飛ばして

くゆる黒煙の先 僕には何が見える

 

    終わらない痛みは そのまま痛みとして

    月日は流れ 背景となって

    全部諦めたところから 僕らまた歩き出した

    晴れそうにない暗闇へ 僕はもう行くよ

    じゃあ、また   グッド・バイ