巡リズム

 

異国の風を思い出す

いつかテレビで見た風

それか夢で見た風 あるいは

あのとき あの国の

風が 風としての範疇を 超えて

吹く 駐車場 左に 右に

 

星座になり損なった

コンビニを出て

コンビニはあったかい冷房

みたいな空気で 僕を押し出して

その勢いに僕は

靴底をすり減らして

七色への嫌悪感と

その反対側にある

科学館へ 母は向かいました

 

ありがとうを繰り返すべき

のような

世界への復讐を誓うべき

のような

揺れる意志の欠片を

都会の真ん中に

埋めて

いつかビル風が  

掘り起こすのを

待って

 

すべてからの孤立とも

あらゆる歴史との結合

とも取れる生活を

繰り返し 日々 地味に 

めぐり めぐり めぐり

巡リズム

 

 

 

 

拝啓 2023年へ

 

 

今年はなにがあったかな。思い出そうとしてもよく思い出せない。これはべつに全てを忘れたというわけではない。思い出そうとするとその過程で頭に靄がかかって、白っぽくなってきて、般若心経になって文学になって信仰になってついには鳥になって飛んでいってしまう。俺の身体が機能不全を来たしているのか、正常な鬱病の症状なのか、来月には死ぬのかよく分からないけど、思い出せない。とくに上半期、なにも思い出せない。仕方がないので重い腰を上げて、眼球の隅にメモリー清掃員のおっさんが掃けた朧気な記憶を一枚ずつめくりあげてみると、たしか今年のはじめ、俺はめでたいことによく分からない大学にたまたま合格して、よく分からないまま親に大金を振り込ませ、よく分からない世迷言を下水溝みたいに垂れ流しながら、よく分かったふりをして大学に入学したようだった。

 

大学は楽しくなかった。でもべつにそれでよかった。端から楽しいだろうとは思っていなかったし、一定期間のモラトリアムと社会のレールに再び乗ることが出来たという安寧さえ手に入れば、あとはどうでもよかった。無気力大学生という言葉の、無気力こそ咀嚼したかった。つまり、今回こそは上手くやる必要があった。失敗は許されなかった。学内での孤立を恐れた俺は、ゼミの同級生に手当り次第声をかけ、当たり障りの無い言葉のラリーを繰り返し、健常者返答クイズの二択に正解し続け、全ての主義主張を喉元に押さえ込み、下らない陰口に同調して、グループでは一定の地位を得た。それでよかった。なんの価値もない大義のために自我を貫徹して、孤独に咽び泣くくらいなら、自分を殺してでもこうする方が良いに決まっていた。俺の人生の道は、切り開かれたかに思えた。

 

張り詰めていたなにかが切れる音がした。いや早すぎるだろ。外に出れなくなった。人に会えなくなった。電話に出れなくなった。立ち上がれなくなった。ずっと死にたかった。きっかけははっきりとしていた。ドイツ語の授業に五分程遅刻してしまったとき、先生にみんなの前で恥をかかされた。怒られたとか注意を受けたとかなら、なんの問題もなかった。その時は文字通り、恥をかかされ続けた。残りの八十五分間、ずっと。頭がくらくらした。目の前が真っ白になった。手汗が止まらなかった。口角が無意識に上がったり下がったりしているような感覚になって、それと連動してあらゆる臓器が上下に揺れているような気分だった。その授業には友達が誰もいなかったのも、良くなかった。まわりの生徒の多くは困惑していたが、一部の人間は嘲笑を手のひらで転がして見せた。「そこまでする必要ある...?」そんな声も聞こえた気がした。それでもその時は、遅刻した自分が悪いと思うことにして、ただ時間が過ぎるのを待った。重い足を引きずって出席した翌週の授業で、その先生に「君、よく来れたね」と言われた。ついになにかが終わった気がした。その後の記憶はない。人が怖くて仕方なくなった。しばらく外に出れなくなった。

 

なんであんな奴に妻子がいて、俺は未だにセックスすら出来ないんだよとか考えていた気がする。それくらいのことしか思い出せない。部屋は荒廃の一途を辿り、あらゆる意味で俺の生活は廃れた。ワンルームの一室でひもねす布団に横たわりスマホを操作するだけの終わっている人間が誕生した。結局、俺は俺だった。昔からなにも変わっていない。なんでこんなに弱いんだろう。なんでこんなに人と違うんだろう。まともになりたかったと一日中泣いていた。大切だと思っていた人すらも敵に見えてきて、傷付けるような言葉も投げた。ただずっと消えたかった。親に申し訳なかった。後悔と未来の押し相撲を傍目に、俺はインスタント麺を啜り続けた。

 

運が良かった。音楽や文学、ゲーム、YouTube、友人や家族、あらゆるものたちのおかげで、なんとか生き延び、再び学校へ通うことに成功した。なにか特別な出来事があったわけではない。もう全てがどうでもよかった。これでダメなら死んでやる。そんな一歩だった。依然、人が怖いことに変わりはなかったから、行きたくない授業は全部行くのをやめた。そのせいで、いくつか単位を落としてしまったけど、以前と比べると幾分か生活が安定して、ほんの少しだけ光が差した。

 

他人なんてクソだ。俺は結局、俺の為にしか生きられない。俺が望む方へしか歩けない。社会も常識も普通も当たり前も金も世論も全部クソくらえ。俺は俺が見たいもののために行くし、行くために作り続ける。どうでもいい奴は、どうでもいい奴でしかなかった。だからこそ、大切な人やものを見失いたくない。さっさと世界終われよ。こっちはいつ終わってもいいように生きてんだよ。もう誰の言うことも聞かないし、やれと言われたことは一つもやらねえよ。くたばれ。

事故って死んだ

 

 

はじめに書いておくことにするが、この文章は詩でも無ければ歌詞でもない。

(因みに俺はこの2つを明確に区分している。それについてはまたいつか)

近況報告というか、所感というか、所信表明というか、長めのツイートというか、それを要するにブログと呼んでしまおう、というか、そんなものである。

俺の詩(あるいは歌詞)には、ある種の単なるポエミーな随筆として解釈され易いという特徴がある(というよりも、あえてそういった属性を付加しているという方が正しい)ので、それが翻って、この文章が詩(歌詞)として解釈されてしまうことを防ぐために、冒頭に書き記すことにする。

 

 

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最近、高校のときの同級生が死んだ。事故だった。

そいつとはもうしばらく会っていなかったから、未だに友人だ、というのは少し図々しいかもしれない。

でも、あの頃の俺たちは確かに友人同士であったし、特に親交の深かった時期に関しては、同じ屋根の下で寝食を共にしたことも幾度となくあった。

あいつが俺の事をどう思っていたのかは知らない。俺もあいつが特別良い奴だったとは思わない。

それでも、俺の半生における美しい瞬間の、確かな登場人物として記憶に残っていて、そして今後も残り続けることに間違いはない。

なんにせよ、あいつはもう帰ってこないし、話すことも出来ない。行き場の無い悲しみに襲われる。寂しいな。

 

顔を見に行くこともせず、通夜にも行かなかった。というよりも、行けなかった。それは、俺が今住んでいる場所と、地元との物理的な距離や予定の問題ではなく、俺の精神的な問題だった。

どう考えても不義理だし、薄情なことなのも分かっている。それでも、どんな気持ちで会いに行けばいいのか分からなかった。遺族にどんな言葉をかければいいのかも分からなかった。

訃報を聞くまで特に気にもとめず、存在すら忘れかけていた同級生の死が、ここまで心にくるものかと呻吟した。

それとも、自分と同じ歳の人間が、突然亡くなった事への衝撃と、命の儚さへの悲しみと、そんな世界の理不尽に、心を押しつぶされているだけ、という方が正しいのだろうか。それが、知り合いだったから尚更、というだけのことなのだろうか。

そう考えると、より一層自分の薄情さに嫌気が差した。その一方で、たかが数年仲が良かっただけの知り合いに、心を入れ込みすぎではないか?と考える冷静な自分もいた。

こんな思考の反復によって感情の出処を探ったところで、何の意味もないのに。

 

俺は、物質的にも、唯物的にも生きられない。

ときどき、自分の大切な人が死んでしまう瞬間を想像することがある。その度に泣く。そのときが来たら自分がどうなってしまうのか、考えることもできない。そんなことになるくらいなら、自分がいちばん最初に死にたいとか、身勝手なことを考えたりもする。

数年前は、毎晩そんなことを考えて泣いていた。その間は何も手につかなかった。解決法はひとつ、それらのことから目を背けて眠る。それだけだった。睡眠の効果は絶大で、朝になったらすっかり忘れることが出来た。それでも夜になれば、シャンプーの匂いがそれらを誘い出して、またひとりで泣いた。

 

本質的には今も変わってない。俺は未だに「大切な人を失う恐怖」を克服出来ていない。そしてそれはこれからも、たぶんできない。

もちろん、大切な人を失って平気な人などいない。それは分かってる。それでも人々はどうにか立ち直り、また生きていく。いや、そう見えるだけかもしれない。実際のところは、立ち直れてなんかいなくて、ただ、季節に引きずられるように、前に進まされているだけかもしれない。元気そうに見えても、心のどこかでは、一生、何かが翳り続けるのかもしれない。分からない。ほんとうのことは何も。

でも、いつか必ず知ることになる。それは、避けられない。どんなに清く生きようが、世界が平和だろうが、金を稼ごうが、無事故だろうが無病だろうが。いつかは必ず知ることになる。人は、死ぬ。

だからこそ、その瞬間が、出来るだけ遠ければいいと思う。その瞬間まで、ずっと幸せならいいと思う。その瞬間を、満を持して迎えたいと思う。少なくとも、俺の大切な人には、そうであって欲しいと願う。

 

友人の死を契機にして、こんなことを考えるなんて、なんというか、甚だ自分勝手だとは思うけど、まあ、そんなもんか。

あいつとの最後の会話はなんだったかな。家のベランダで、俺があいつから煙草を一本貰って、それが俺の人生で初めての煙草で、全然美味しくなくて、すげぇ咳き込んじゃって。あいつ笑ってたな。まわりの奴らも笑ってた。

ランウェイ・ランナウェイ

 

頭ん中じゃ浮かんでるはず、この部屋

焦げた歴史が、手を伸ばして支えてる

従えそびれたらそれまでの、明日には、高圧的に

一旦セーブしてから、ルーペで太陽を見る

 

常にこの街の先頭にいる、けどなにも始まらない

僕のうしろに沢山の人が並ぶ、けどなにも始まらない

並ぶところ間違えました、なんて今更言えない

どんどん重く、どんどん重くなるから

すべてが均一になれば、夕焼けはもっと赤い

 

バスでは、いつも、手汗が、止まらない

さんずいも、伊達じゃないな、とか言ってみた

乗ったら、降りたくない、降りたら、乗りたくない

運転手さん、このまま、向かってください、知床。

知床!?

ブラジルの!

ブラジルの!?

もっと飛ばして

高速道路を飛ばして

高速道路化した国道を飛ばして

法定速度を一応守りしつつ飛ばして

法定速度を大幅に超過したスピードで飛ばして

やっぱり危ないからやめて

探してるのは、たぶん見つからないもの

たぶん見つからないから、探しているの

そんな風に意味ありげに街を捨てて

しかめ面と生意気の丁度間の顔をして

Suicaの残高に震えて

額も見ずに旅立って

冷ましたコーヒーをシンクに捨て

放送禁止用語に寄り添って

もう見てないテレビを消して

とはいえ寂しいからまた点けて

基本無料に課金して

基本課金に無料して

初回無料だからとりあえず試して

更新される前には忘れずに解約して

結局忘れて980円払って

言葉は権威だと知って

思想は権威だと知って

権威を以て

権威主義を批判して

それならもう いいから黙れ

構造主義と燃え

ヒューマニズムを炉へ

オントロジーとして震え

物質として飛ばせ

状態として交わせ

古池や 蛙飛び込め

色めき立つ人いきれに消え

出店が煽る生にわなないて

破裂音が残した静寂に勃起して

ラッシュを率いて蜘蛛の糸へ向かえ

性欲を性的欲求とか言え

とりあえず言え

言えるなら言え

言えなくとも言え

言えと言えと言え

さもなくば言え

いえいえどうも懇切丁寧に言え

そういえば彼女とか欲しいね

その「とか」の所在を探れ

キュートアグレッション吃って

俺の心にキリ突き刺して優しさを引き摺り出すな唆れ

「愛してる」が血管を流れ

そのまま銃創を指でなぞれ

鮮血を蜜みたいに有難がって

もっとくれと悶え

求める人は、求めるばかりで吠え

与える人は、与えるばかりで狂え

カニバリズム祟って

卒業写真の右上で踊れ

それを傍目に真ん中で泣け

マウスカーソル眉間に合わせ

Escでどこまでも逃げ

パーソナライズ誇れ

架空請求全部払って

数分前のやけに冷たいマスク呪って

袋お願いしますに雪が降り積もって

果てには散れ

いつかは散れ

否が応でも散れ

もうどうしたらいいか分からないくらい散れ

その衝動もろとも散れ 

ショートショートの最後みたいに散れ

星新一

ナレーションは俺に任せて歌え

神様様のお好きなタイミングで世界終われ

やりたいことやって死ね

期待よりでかい不安抱え

西瓜よりでかい林檎抱え

寝て

起きて

微睡んで

魘されて

起きて

寝れねえ

寝て

寝て

寝て

 

 

僕らいつもそう 安い酒と高望み

敷かれた滑走路に 言葉の粒滑らせ

 

運転手さん、僕はどこまで行けますかね

降車ボタンが最後の乗客として無愛想に

高座から地方都市のネオンを望む

バスではいつも、手汗が止まらない

 

 

 

 

 

パラダイムシフト

 

西日から伸びる 雑踏の影が

あの本の悪魔みたい 僕を監視するから

歩道に伸びる 雑草毟り取って

いっそ陽光に 目を焼いてやった

 

自分を騙して 欺いて 煙に巻いて 生き延びて

60Wばかりの電球じゃ 僕を照らせはしない

 

    ただ 抜け出したい それだけが動機

    偶然か必然 賭けか未来

    夜明けが見たい 期待はしない

    自意識の根底を覆す そんな情動を求めて

    安寧が手招くけど 僕らもう正気じゃない

    所以も無しに 終わらせる顔をして

    勘違いしたなら それが始まりだ

 

伸びた前髪のことを 考えるだけで

すべてが勇気に 変わってしまうような

そんな感受性も 武器になるというなら

海沿いのカーブに 拾いに戻らなきゃ

 

世間を憎んで 裏切り 裏切られ 生き延びて

いくそばくの嘲笑も 僕を殺せはしない

 

    ただ 個々の光で照らせ 携えたランタンで

    野望か現実 尊厳か人生

    落陽の時代 後悔はしない

    朽ち果てた信念の 火葬すら灯りにした

    誇れ惨めなエウレカ 常にその程度が標だ

    所以も無しに 終わらせる顔をして

    勘違いしたなら それが始まりだ

 

今日までの失敗が 雪を踏み歩く音

眠れないから 耳を塞げば

病名を餞別に いつかの夢は窒息死

繰り返した 諦観と悲嘆 後悔のリフレイン 

探してる 目を隠しても見えるもの

いま 必要だった 傷だらけの僕らが繋いだ

それでも確かな 叫びが

 

    ただ 存在を鳴らせ 自分だけの根拠で

    成功か失敗 決まるのは次回

    崩壊が見たい 死に切れぬ遺体

    パラダイムシフト 両腕に自負心と引け目 

    ぬかるんだ足元に 一抹の砂金を見たんだ

    所以も無しに 終わらせる顔をして

    勘違いしたなら それが始まりだ

グッド・バイ

 

4番線ホームで 季節に手を振って

ふと振り返れば 昔日のたられば

後ろ髪引くから 思い出と寄り添えば

明日の僕が 線路に飛び込んだ

 

「あれがお前だよ」って笑って

散り行く花火を 捕まえても

それは誰の胸にも落下せず

果てしない黒に 霧散して 眠る 眠る

 

すべての記憶が 等しく流れ着いた

この世界の川下に 瑣末な讃歌を

 

    消せない傷は そのまま傷として

    日は暮れゆく 夜は明ける

    当たり前も幸福も 参加賞じゃないけど

    救いの無い悲しみへ 僕はもう行くよ

    じゃあ、また   グッド・バイ

 

いいんだぜ どんなきちがいでも

僕らはそんな歌を歌って 街頭に群がる虫のように

言葉に擦り寄っては突き放し

ついには世界も出禁になった

 

何ひとつ 変えられなかった夜は

人たりうる 最後の抵抗として

夜っぴて、思考の余白を塗りつぶし

遺書のつもりか 恥ずかしげもなく 綴る 綴る

 

すべての過去を 等しく包み込む

この世界のざわめきに 瑣末な惜別を

 

    流れた涙は そのまま涙として

    人は死にゆく 季節は巡る

    僕ら、終わりの時すら 満足に選べないけど

    どうせ消えない後悔へ 僕はもう行くよ

    じゃあ、また   グッド・バイ

 

すべては時間が解決して

時間は何一つ解決しなくて

朝は必ずやってきて

朝はいつまでも来ないままで

 

これでいいやと留まるのなら それが救いで

これじゃ駄目だと踏み出すのなら それが救いだ

くたばった世界 蹴り飛ばして

くゆる黒煙の先 僕には何が見える

 

    終わらない痛みは そのまま痛みとして

    月日は流れ 背景となって

    全部諦めたところから 僕らまた歩き出した

    晴れそうにない暗闇へ 僕はもう行くよ

    じゃあ、また   グッド・バイ

 

 

 

 

 

どうせ世界はこのままだから

 

世間体は気にしない という世間体を

大事にするように 背負って歩くように

僕らの荷物には

無駄なものばかり 増えていくけど

 

本当に譲れないものを ひとつだけ選んで

それを大切に できたらいいな

今の僕にはまだ

大切なものが 多すぎるけど

 

独りよがりな詩を 空に投げたら

世界が少しだけ良くなった気がした

 

    僕の言葉が 君に突き刺さって

    君が逃げ出す理由に なってしまえばいい

    僕のつくる歌が 弾丸となって

    この馬鹿げた世界に 風穴を開ければいい

    世迷言だと 聞き流してよ

    どうせ世界はこのままだから

 

この街は僕らを 木枯らしに乗せて運ぶ

それぞれの人の 美しいが連なって

みんなが自分を生きるから

この季節が好きなんだ

 

僕よりもたくさんの 綺麗なものを

知っている君が 明日を見限ったのなら

僕にできること

もうないか もうないよな

 

誰かを救おうだなんて 思わないで

それはきっと 救いじゃないから

 

    僕の言葉が この星に唾を吐いて

    孤独な暗闇の中で 輝き続ければいい

    僕のつくる歌が 笑い飛ばされても

    いつか少しだけ 思い出されたらいい

    見たくないものは 見なくていいよ

    どうせ世界はこのままだから

 

かたわれ時の美しい語らいも

祭りの後の侘しい人いきれも

全部言葉に出来るのに 全部言葉が繋ぐのに 

君は幸せになれるって 言い切ることすら出来ない

 

どんな情緒も立ち入れない場所で

一人すすり泣く影を見たんだ

そんなものたちを照らす 覚悟が詩歌にあるのか

どうせ世界は変わらない

でも だからこそ歌い続けるよ

 

    僕の言葉に 光を見た君が

    見失った明日を 見つけられたらいい 

    僕のつくる歌が 照らせなくても

    君のエンドロールの 端に載れたらいい

    無い物ねだりを 笑ってくれよ

    どうせ世界はこのままだから