10月 焦燥 やがて逃走
過去も未来もないような
デジャヴみたいな10月が
廃ビルの屋上で 秋風に髪なびかせて
僕に背を向け立っていた
10月 焦燥 やがて逃走
いつかの記憶の中で 影になった僕らは
互いの顔も見えない黄昏時に
創作みたいな室外機にもたれて
なにを語るのだろう なにを語るのだろう
10月 焦燥 やがて逃走
高速道路沿いのラブホテル
オレンジ色の街頭に照らされた悲しみの横顔
そこに真実がある気がして
もう少しで何か分かるような気がして
わけもなく窓を開けてはみたけれど
10月 焦燥 やがて逃走
数時間前に京王線で
人身事故を目撃した風に頬を撫でられ
途方も無い空に脅された僕は
少し腹が立って
ここに答えは無いな
なんてつぶやいた