シュノーケル

 

街頭に照らされた初雪に ざわついた心が

凍った用水路にひびをいれて水没

焦燥の重さの分だけ深く沈んでいった

落伍者のイヤフォンから 流れるポストロックは

夜空が蓋をした街に調和して窒息

ひとつの舞台を作り上げていた

 

常に淡白な四季に 向けるべき感情も知らず

常に無愛想な四季に 向けられた感情を

ただぼんやりと眺める そんな日々の空白で

いつか光を掴む そもそも光ってなんだ

 

僕らは止まらない列車に繋がれて

敷かれたレールの上を引き摺られ

あるいは轢き殺され 季節を目指した

くすぶる命に群がるハイエナの鼻歌

12月 東京に降り注ぐ八十億のアイロニー

来るべくして来た、人類最後の日

 

    愛が必要な世界で 愛を取り上げられ

    やがて 人類の白昼夢へ

    忌憚なき異端 迷える弾道弾 もう無理そうだ

    こんなにも広いのに こんなにも息苦しい

 

    夢が必要な世界で 夢を遠ざけられ

    そして 幸福の常套句へ

    末人共の足拍子 罹患的情熱 マジョリティ 酸欠

    こんなにも広いのに こんなにも息苦しい

    こんなにも広いのに こんなにも息苦しい