平和じゃないのが文学だ

 

幾度目かの微睡みの後に

ふと目を覚ました午前二時

煌々と照らす電灯 唸るパソコン 乾いた喉

言い知れぬ不快感 

平和じゃないのが文学だ

 

寝ぼけまなこで目を擦り

ネットニュースにテレビに新聞に

人の生き死に憂慮して

冷めたコーヒー啜ってる

平和じゃないから文学だ

 

彼女にとって文学とは逃避行だ

僕にとって文学とはなんだ

季節に引き摺られる不安と焦り

決死にしがみつこうとコンクリートに立てる爪

散る火花 音がうるさくて眠れやしない

 

文学とは カーテンの隙間から漏れる陽光であり

文学とは 戦争であり

文学とは 逃避であり

文学とは 自殺であり

文学とは 生存である

文学とは

 

観念的死から始まり

物理的な死で終わる

終わりと終わりの狭間で

繰り返される自問自答

秒針の音がやけにうるさい今夜

少年は自身の情緒と向き合う

窓から身を投げる数秒前

言葉になにが出来るだろうか

知る由もない 知る由もない

 

平和じゃないのが文学だ